成人式だけと思ってない?振袖を着る機会ってこんなにある!
振袖を着る代表的な場面として挙げられるのが、成人式ですね。成人式で、新成人たちが艶やかな衣装に身を包む姿は、目にも鮮やかで美しい光景です。ですが、成人式で着たその後は振袖がタンスの肥やしになってしまっている……という方も多いのでは? せっかくの振袖、成人式以外でも着てみませんか?
結婚式や披露宴に振袖で色を添えよう!
成人式と並んで振袖を着られる機会として挙げられるのが、結婚式または披露宴へ招待されたとき。振袖を招待客として着ることをためらう人もいるようですが、礼装なのでむしろぴったりの場なのです。
格式が高い振袖は、実は結婚式や披露宴で新婦の花嫁衣裳としても着ることもできます。成人式で着る振袖を購入するときに、花嫁衣裳にも着ることができるデザインを、と考えて選ぶのもいいかもしれません。
一般的に、振袖は未婚女性の第一礼装。大事な式典や儀式などの際に独身の女性が着るものとされています。特に新婦の衣装として着る振袖は、未婚女性として振袖を着られる最後のチャンスになるため、自分の結婚式で思い入れのある振袖を着納めするのもステキです。
正式な儀式である結納でもOK
「結納」とは、結婚式の前に正式な結婚の約束を交わす儀式。日本では古くから取り行われている風習です。格式高い形式で行う結納は、新婦になる女性が第一礼装である振袖を着用するのにふさわしい場でもあります。こういった日本古くからの儀式でも、振袖が活躍します。
卒業式では袴と合わせてイメチェン!
大学や短大、また専門学校などの卒業式の衣装として、振袖に袴の組み合わせは定番ですね。もともと女性の袴は、明治時代に上流階級の女性が着始め、その後女学生のスタンダードなスタイルとして広まっていったと言われています。振袖の上に袴を着用するため、振袖単体のときとはまた違った凛々しい雰囲気を演出できるスタイルです。
袴に合わせる振袖は、小振袖(二尺袖)が一般的ですが、それより格式の高い振袖を着用しても問題ありません。卒業式のために、小振袖にしなきゃ、ということはないので、自分の好きな振袖を選んでください。
各種パーティーや祝賀会などにも!
結婚式や成人式など人生の大きな節目や正式な儀式のほかにも、各種パーティーや祝賀会でも振袖は着用できます。立食パーティーなどの洋風スタイルで行われるパーティーではドレスを用いることが多いですが、会場の雰囲気によっては日本古来よりのフォーマルスタイルとして振袖を着るのも上品な印象を与え、喜ばれます。最近では、新年会など和式を重視して行われる式典や、祝賀会などのイベントでも振袖が着られています。
ほとんどのパーティーやイベントに礼服である振袖で参加することは問題ないので、せっかくの振袖、身内で行う小規模なパーティーや、公的に開催されるイベントでも気軽に着てみてくださいね。
そのほか振袖いろいろな活用術
振袖は、格式の高い場面で着用する礼装であり、かつ基本的に未婚の女性が着用するという通例があるため、ほかの衣装に比べ着る場を選ばなければならなりません。そこで、袖の振り部分を切って仕立て直し、ほかのシーンで活用するという方法があります。
そこでおすすめしたいのが、訪問着として新たに仕立て直す方法! 色合いや柄の付き方にもよりますが、袖を切ればさらに気軽に着られる「訪問着」となります。生まれ変わった訪問着は、子供の入学式や卒業式といった式典や、七五三などの節目の儀式、さらに、華道や茶道など和の伝統を重んじる習い事を受けるとき、茶会や展示会に出席するときなど、幅広く活躍するでしょう。
日本に古くから伝わる衣装である着物は、伝統的なしきたりなど着用方法やシーンが限られるため、着る機会に迷うという方も多いかもしれません。しかし、今回ご紹介したように活用できる場面は、意外と多いんです。ちょっとおめかししたい場や礼装で気を引き締めたい場など、お持ちの振袖に袖を通してみませんか?
素朴な疑問。成人式に振袖を着る意味とは?
毎年成人式の日には、振袖で着飾った女性が街にあふれます。華やかでいかにもお祝いらしい光景ですが、そもそもどうして成人式に女性は振袖を着るのでしょうか? 今さら他人に聞けない素朴な疑問。知らなくても困らない成人式と振袖の起源ですが、知っていると少しだけ、心持ちが違いますよね。
昔は男も振袖を着た!?
振袖は別名「振り八つ口」と言います。八つ口とは着物の脇の下にあたる部分。「振り八つ口」は、袖の身頃側の生地を縫わずに開けたままにしたものです。「振り八つ口」は、元々子ども用の小袖に見られた袖の形でした。袖が開いているため風通しが良く、子どもの高い体温を逃がす役目を持っていました。子どもの小袖ですから、女子だけでなく男子も「振り八ツ口」を着ていました。
その後、男子は17歳の春、女子は19歳の秋になると、袖を切って脇側を縫い大人と同じ袂(たもと)の閉じた着物にします。「振り八つ口」の風習については井原西鶴が、『西鶴俗つれづれ』の中に記しています。
振袖はどうして長いのか?
元は子どもの小袖だった振袖、江戸時代になると振袖は、未婚の女性が着る正装になりました。振袖は江戸時代初期から中期にかけて、袖丈がどんどん長くなります。振袖が長くなったのには、袖丈が長いと所作が美しいことや、袖を振ることで男性の気を引けるなど、いくつかの理由があったようです。
日本には、感情を袖で表す風習があります。「袖を振る」のは好きということ、「袖を払う」なら忌み嫌うという意味。袖によって感情を表すとしたら、感情豊かな若い女性の袖丈が長くなるのは自然なことだったのでしょう。
成人式の起源と意味
二十歳を大人として祝う現在のような成人式は、第二次世界大戦後の1946年に始まった新しい行事です。ただそれ以前から、子どもが大人になる通過儀礼は行われていました。古くは男子が16歳で髪型を変える「元服」、女子が腰着を付ける「裳着」などがそれですし、先に記した「振り八つ口」の袖を切って袂を縫う風習も、通過儀礼の1つです。着物や髪型を変えることで、目に見える形で成長を祝い、同時に大人になる自覚をうながす意味があります。
成人式に振袖を着る理由
「成人式に振袖を着る」のも、現代の通過儀礼の1つと言えます。装いを新たにすることで、気持ちを大きく変える意味があります。第一礼装で改まった席にのぞむことで、大人になったという自覚が持てます。華やかで格調高い装いをすることで、親に成長の報告と感謝の気持ちを伝えるのです。一生に一度の成人式を大事な節目と思う気持ちが、振袖を着るという習慣に繋がったようです。
成人式の振袖は、大人として人生を歩き出す自分を祝い、成人となった自覚を持つための晴着です。独り立ちする記念日に着るものだから、自分らしさを表せる振袖を選びたいもの。振袖選びは妥協せず、本当に好きな物を選んでください。納得できる最高の一着に袖を通して、成人式に臨みましょう。
着物を着るなら押さえておきたい着崩れ対処法
着物の着崩れを防ぐためには、ちょっとした所作にも気を遣うことが大切。着慣れないうちは所作なんて難しい……と思ってしまいがちですが、着崩れた着物をそのままにして、せっかく着物を着ているのにだらしない印象を与えてしまってはもったいないですね。
実は、着物はちょっとしたポイントを覚えておくことで、長時間着ていても美しい状態を保つことができるのです。心掛けておきたい着物の着崩れの対処法をご紹介します。
実は、着物はちょっとしたポイントを覚えておくことで、長時間着ていても美しい状態を保つことができるのです。心掛けておきたい着物の着崩れの対処法をご紹介します。
着崩れが起こる原因って?
着崩れが起こるのは、締めが甘い、体型の補正が十分でない、動くときの所作に問題がある、といった3点が主な原因。つまり、着崩れを防ぐためには、着付けの段階と着た後の動作、それぞれの場面で細心の注意を払わなくてはならないということです。
しかし、どれだけ気を付けていてもやはり着物に着崩れは付き物であるため、着崩れをしたときに自分で直す対処法を覚えておきましょう。コツさえ押さえておけば、対処するのはそこまで難しくはありませんよ。
崩れやすい箇所と、咄嗟のときに使える対処法を挙げますので、着物を着るときに意識してみてください。
衿が崩れてしまったときの対処法
凛々しい美しさを演出する着物の衿元は、崩れてしまうと一気にだらしない印象になってしまいます。衿が崩れてしまったら、できるだけ早く直しましょう!
衿がゆるんだとき
左の身八つ口(脇に空いている切れ目)に手を入れて、自分の左側の衿を引きます。たるんだところは腰ひもの間に入れ込んでしまいます。右側の衿を直すときは、衿元のラインを正しつつ、帯の下のおはしょりを引いて調整してください。
衣紋が詰まったとき
後ろ側の衿が詰まる(着付けたときより首に近付いた状態)になってしまったときは、後ろのおはしょりを下に引いて衣紋を抜きます。
長襦袢が崩れてしまったときの対処法
長襦袢の着付けが甘く、着物の端から少し見えてしまうということがあります。こうしたときに、綺麗に整える応急処置の方法を覚えておきましょう。
長襦袢の半衿が見えなくなったとき
着物の衿を若干中に折り込むことで幅を狭くし、おはしょりを引っ張って幅を整えます。
長襦袢が袖口からはみ出たとき
身八つ口(脇に空いている切れ目)に手を入れて引き上げることで、おおむね直すことができます。それでも対処しきれない場合は、着物と長襦袢の袖の内側を、外から見えないように安全ピンで留めます。
後ろ衿が出すぎたとき
着物をたくし上げて長襦袢のお尻あたりを引っ張り、真ん中から引き下げます。
着物の裾にずれが出たときの対処法
着物の裾部分がずれてしまうと、せっかくの凛とした印象も半減してしまいます。こうしたときには、下記の方法で対処しましょう。
上前が下がったとき
おはしょりの下から上前(自分の左側)の衿を引き上げ、下がってきた分を帯の下に入れ込み、最後におはしょりを整えます。
下前が下がったとき
上前の下から下前(自分の右側)の衿を引き上げて帯の下に入れ込み、おはしょりを整えます。
裾が広がったとき
おはしょりの下から上前、下前の衿を内側に引き上げて、裾つぼまりに整えます。下前側のおはしょりを多めに取って引き上げると綺麗に直すことができます。
長時間着物で過ごすときなど着崩れが心配だという方は、崩れてしまったときの対処法を覚えておくだけで、安心して過ごすことができる1でしょう。所作も着物の美しさのひとつと意識して、着崩れすることないよう着物を楽しんでくださいね。